エクストラ・ライト弦に変える際に
アコースティックギターのエクストラ・ライト弦は主流のゲージの1つであり、これからエクストラ・ライト弦に変えてみよう、という方も多いかと思います。
今までエクストラ・ライト弦での調整の経験、またご相談やご依頼の傾向から、踏まえておいていただいた方がいいかなと思える2点についての動画です。
■まずセッティングに目を向ける
エクストラ・ライト弦を張っている、もしくはエクストラ・ライトに変えようとされている方のギターは、弦高が過剰に高いことが多いです。
それには、ネックの反り、ネックアングル、ナット高、サドル高などの要因がありますが、「押さえにくいから弦を細くすれば」ということでエクストラ・ライトを選択される傾向があります。
確かに、弦を細くすれば多少は押さえやすくはなりますが、過剰に弦高が高いままで弦だけを細くしても、あまり効果はないです。
根本的な弾きにくさはそのままですので、強引な方法と言えます。
まずは弾きやすい、自分のお好みの状態にギターをセットした上で弦を選ぶ、というステップを踏む必要があります。
■どのメーカーのエクストラ・ライト弦を選ぶか
エクストラ・ライトも様々なメーカーから出ており、それぞれに性質がありますが、ゲージと弦高の観点でのお話しです。
エクストラ・ライト弦を選ぶということは、できるだけ弾きやすくするという意図の方がほとんどだと思います。
当然、弦高もより低めを好まれるかと思いますが、弦高を下げる上で、ビビりの観点では、3弦のゲージを踏まえた方がよいです。
弦は細くなるほど反発力が下がります。細いほど、弦の振幅が大きくなります。また、ギター自体の共振の影響により、特定の周波数に対して振幅が大きくなるポジションも、必ず存在します。
代表的なメーカーで3弦のゲージを挙げますと、以下の違いがあります。
・Elixir:23
・Martin:23
・D'Addario:23
・ERNIE BALL:20
・SIT:20
主には、3弦のゲージには、23と20の違いがあります。
レギュラーチューニングの場合、ソ(G)の音に合わせますが、20ゲージは、ソに対しては、ビビりの観点では細すぎるように感じられます。
ギターは、弦エネルギーや特定の周波数に対して、ボディ、ネックが共振します。
弦エネルギーが大きくなる開放、また3弦の場合はシ♭〜レあたりの音に対し、共振が強まる傾向があります。
その共振により弦の振幅がうねり、うねりが大きいとピッチ(音程)が不安定にも聴こえますが、振幅がフレットに触れやすくなります。つまりはビビりやすくなります。
ゲージが細いほど反発力が低いため、そのうねりが大きくなります。
ビビりの観点では、ゲージが細いほど、弦高を下げにくくなります。
特に、3弦で20というゲージは細く、ギターの共振の性質によっては、ナットもあえて高めにしなければ開放がビビるということもあります。
言い換えれば、ゲージを下げない方が弦高を下げやすいということになります。
押さえやすくしようと、エクストラ・ライトの中でもより細い弦を選んだ結果、ビビりやすくて弦高を下げづらくなるということになります。
こう言われると、20ゲージを選ばない方がいいと言われているようにも受け止められかねませんが、そういう意味ではないです。
20ゆえの音の感触もありますため、それが好きな方も多いかと思います。
ただ、押さえやすくしたい、より弦高を下げたいというご希望に対しましては、それに合わせたゲージを選んだ方がよいと言えます。
ギターの性質によっては、20ではあえて高めに弦高を留めなければならなくても、23であればより下げられるということも、本当によくあります。
また、20ユーザーの方が気になられていた3弦のビビりが、23に変えることで解消したという例も、多々あります。
弦のパッケージに書いてあるゲージの数字を見ますと、より細い方が押さえやすいだろうと感じられますため、それで ERNIE BALL や SIT を選ぶ方も多いです。
ではありますが、弾き心地は、あくまでセッティングによります。弦は、最後の選択です。
3弦のゲージが20の弦がよくないというつもりは毛頭ありませんが、セットしたい弦高を踏まえた上でメーカーを選ぶという視点もあると、よいかと思います。
そういったことについて話しています。