ハードケースで破損が生じる原因と、それを防ぐ梱包方法について
本当に稀ではありますが、非常に残念なことに、輸送中にギターの破損が生じてしまうことがあります。
よくある破損の例が、こちらの写真のような、ネックの割れです。
この割れは、実際に輸送中に生じたものです。
意外なことかとは思いますが、こういった破損は、ソフトケースではなく、ハードケースの際に生じることの方が圧倒的に多いです。
また、オリジナルのハードケースでも生じることがあります。
上の写真のギターも、オリジナルのハードケースでの輸送の際に破損が生じています。
「ハードケースの方が安心」と思われがちですが、実はそうではないです。
ハードケースが危ないというわけではなく、厳密に言えば、ケース内部の形状とギターの形状が合っていない組み合わせの場合に生じます。
どういう組み合わせかと言いますと、ケース内部でギターが容易に動く場合です。
ケース内部でギターが、左右、前後、上下に動きやすい場合、外から強い衝撃が加わった際に、ギターがケース内部に強く当たることになります。それにより破損が生じます。
ケース内部で動きやすいパターンは、以下の3つです。
・ヘッドが左右に動きやすい
・ネック枕とネック底面との隙間が目立っている
・ギター自体が上下(ヘッド側とボディ側)に動きやすい
・ヘッドが左右に動きやすい
ケースのボディ部分とギターのボディとの隙間が目立っていたり、片側だけに隙間があると、ヘッドが容易に左右に動いたり、片側に寄った状態となります。
衝撃が加わった際にヘッドがケース内部に強く当たったり、衝撃がそのままヘッドに伝わる原因となります。
・ネック枕とネック底面との隙間が目立っている
ケースのボディ部分の形状とギターの形状が合っていない場合、ケースのネック枕とネックの底面に隙間が目立つことがあります。
隙間が目立った状態のままで箱が強く倒れるなどしますと、枕にネックが打ち付けられることになります。
また隙間が目立っていると、ヘッドが容易に左右に動きやすくなります。
・ギター自体が上下(ヘッド側とボディ側)に動きやすい
Fender 系向けの汎用ケースに多いですが、ボディ側にもヘッド側にも隙間が多い場合、上下にギターが容易に動きます。
汎用タイプの場合は枕の位置や高さも合っていないため、全く固定されていない状態と言っても過言ではないです。
破損が生じる場合のほとんどは、上記3つのいずれかに当てはまります。
そのギターの形状に合った、とても安心できるハードケースもたくさんありますが、上記のように形状の組み合わせが合っていないハードケースも、同様にたくさんあります。
また、オリジナルのケースでもあっても、形状が合っていないことは珍しくないです。
このような話をされると、ギターを送るのが怖く感じられるかもしれませんが、ポイントを押さえた梱包を行っていれば、安心、安全にギターを送れます。
また、梱包もすぐにできるもので、何も難しくはないです。
そのギターとケースの相性を確認した上で、要所を押さえた梱包を行うだけです。
私共も毎日たくさんのギターの発送しておりますため、自分達への戒めも含めて厳しい言い方にはなりますが、輸送中の破損が生じるということは、破損が生じやすいギターとケースの組み合わせで送ってしまったということになります。
もちろん、衝撃が加わる状況が生じたこともよくないのですが、破損が生じやすい状態で送っている方にも全く非がないとは言い難いかと思います。
こちらの動画で、破損が生じてしまう状態の例と、それを防ぐ梱包方法について解説しています。
参考に観ていただき、輸送中の破損ゼロを共に実現できればと、強く思います。