09-42? 10-46? ギターの性質を踏まえた、弦のゲージ選び
エレキギター弦の代表的なゲージの、09-42 と 10-46。
レギュラー・チューニングから半音下げチューニングの方々は、どちらかを張っているのが大半ではないでしょうか?
09-42 か 10-46 か。どちらが良いのかなどなど、諸説色々とありますが、選ぶ際に踏まえていただくとよいかなと思える2点についての動画です。
■セットしたい弦高とゲージの関係
弦高は低めにしたいという方々がほとんどだと思います。
日頃の調整のご依頼でも、弦高を下げる内容がほとんどです。
低めの弦高にセットする際には、ギターの性質に合わせて弦を選ぶ必要があります。
ここでいうギターの性質とは、ギター自体の共振の性質のことです。
ギターは、弦のエネルギーに対して、ボディ、ネックが共振します。また、特定の周波数に対して反応が強く生じるのも普通です。
その共振により、弦の振幅のうねりが生じます。うねりが強いと、実音以外の周波数も強く出ることで、ウルフトーンのように音がうねったり、シャープして聴こえます。
また、振幅のうねりがフレットに触れやすくなり、強く弾いた際にビビりが感じられます。
共振は、そのギターの素材や質量が伴う固有振動の影響でもありますので(構造も影響します)、価格帯に関わらず、共振の度合いや反応しやすい周波数は、個体により様々です。
弦高は下げたくとも、ビビらせたくはないというのが、皆さんのご希望かと思います。
端的に言えば、うねりが大きい性質のギターに対しては、弦高を下げるほどビビりが目立つことになります。
調整の際はもちろん、振幅の性質を踏まえながら行いますが、共振の性質は根本的には変えることができません。
そこで弦の話になりますが、弦は、ゲージを下げるほど反発力が下がり、共振の影響での振幅のうねりが大きくなります。
例えば6弦では、ゲージが42でも46でも、レギュラーチューニングの場合、同じミ(E)の音に合わせることになります。
細い42の方が振幅のうねりが大きくなることは、容易にイメージできるのではないでしょうか?
ビビりの観点では、弦高を下げるには弦のゲージは下げない方がいいです。
より弦の振幅がうねりにくいゲージを選んだ方が、結果的に弦高を下げられます。
「42ではここまでしか弦高を下げられない」という性質のギターであっても、46に変えることで、より下げられるようになります。
うねりは、ラウンド弦のローポジションで大きくなりやすい傾向があります。
そのうねりの性質と、セットしたい弦高を照らし合わせ、46を張る必要があるか、42でも大丈夫かを判断します。
ただ傾向としましては、低めの弦高に対しては46が適していることがほとんどです。
42でそこそこの弦高に留めておくよりは、46で弦高を下げた方が結果的に弾きやすいということになります。
■音量バランスの観点について
これは主にボルトオン・ネックのギターに対しての話にはなりますが、1弦と2弦の開放〜ローポジションの鳴りの弱さが気になるという相談をしばしいただきます。
上述のことと重複しますが、これも共振の影響です。
ボルトオン・ネックのギターは、1弦〜2弦の開放〜ローポジションの音に対しネックの共振が強くなる傾向があります。
この反応の度合いも、個体の性質によります。1弦と2弦の音が弱いと感じられている方のネックは、共振反応が強い傾向があります。
それにより振幅のうねりが大きくなることで、実音がぼやけ、鳴りが弱かったり音が小さいように感じられます。
この症状に対しましても、ゲージは下げない方がいいです。弦の反発力を下げずに、できるだけ振幅を安定させた方がよいと言えます。
こういった説明をしていますと、いずれにせよ 10-46 を張った方が良いと言っているようにも受け止められるかと思いますが、あくまで個体の共振の性質を見た上で、性質とセットしたい弦高を踏まえてゲージを選ぶと捉えていただければと思います。
これらの内容につきまして、動画で説明しています。