弦は緩めてた方がいいの!?
「弾かない時は弦は緩めてた方がいいの?」という質問をよく、お客様からいただきます。
緩めない方が良いなど、諸説も色々ありますが、今まで新品からビンテージに加え、お客様の修理も含め、数え切れないほど多くの、かつ多様なギターやベースに触れてきた小職の経験上、「弦は緩めていた方が良い」です。緩めておくべきとも言えるかもしれません。
小職の意見だけでなく、今までお会いした多数のメーカーのビルダーさんも、同じことを口にされます。
ギターやベースのネックは、真っ直ぐではなく少し順反っているのが適正と、以前お話ししました。ネックは反るのが当たり前で、それをトラスロッドで調節します。
順反り過ぎたり、逆反りが発生するのもよくあることで、綺麗にそうなってくれていれば何も問題もないのですが、トラスロッド調整では対処しきれなくなる症状が、ネックの捻れです。いわゆる、高音弦側と低音弦側で反り具合が違ってしまっている症状です。
高音弦側は逆反っているのに、低音弦側は順反っているような、捻れの症状になると、著しく弦高を上げないと音が詰まったりするなど、非常に弾きにくかったり良い音が出ない状態になってしまいます。
小職の経験上、この症状が出ているネックは、弦を張りっぱなしにされていることが多いです。
なぜ弦を張りっぱなしだとネックが捻れることが発生しやすくなってしまうのでしょうか?
それは、弦ごとの張力の違いです。
こちらの画像は、ダダリオのホームページから抜粋した、ギター弦の定番 EXL110 の弦ごとの張力が明記されたものです。
画像右側の数値(kg)が、チューニングした際に弦にかかる張力です。
弦ごとにかかる張力が違うののが分かりますね。高音弦側と低音弦側の合計で見ると、明らかに違いがあるのが分かりますね。
次はベースの数値を見てみましょう。
この画像は、ベース弦の定番 EXL165 のものです。
ギターよりも差が顕著で、かつ1弦と4弦でもけっこう違うのが分かります。
近年はバランステンション弦もだいぶ普及しており、張力のバラつきは小さくなってきていますが、そもそも弦は、張力が違うのが当たり前と言えます。
この張力差があるものをそのまま張っていたら、いずれネックに捻れが発生してしまうのは、容易に想像できますね。
もちろん、張りっぱなしでも捻れの起こらないネックもありますが、それは木の性質がそうであり、結果論でしかないので、できるだけ捻れが発生する確率は下げたいところです。
と、いうわけで!できれば今日から弾いた後は弦を緩めましょう!
何もダルダルになるまで緩める必要はなく、各ペグを2〜3周緩めれば大丈夫です ^ ^