レスポールは重い!?


よく「レスポールは好きなんだけど、(重量が)重いから他のがいいかな。。。」という言葉を聞きます。「レスポールは重い」という印象を持たれている方は多いようです。
はたしてそうでしょうか?

小職の知識と経験から言わせていただくと、間違いでもあり正解でもあります。
シンプルに回答すれば、グレードが(価格が)高いレスポールは軽いです。ギブソンは、Historic CollectionやTrue Historicには、明確な重量規定があり、軒並み軽く、さらに’59などのその中でも価格が高いものは、より軽い重量が定義されています。
「え?レスポールなのにこんなに軽いの?」と驚かれる人がいるほど、軽量の材が使われています。

また、ギブソンは、スタンダードラインは中を独自の形状でくり抜くのがここ
10年ぐらいは定着していますね。「くり抜くなんて邪道だ!」など賛否両論あるようですが、小職としては、軽量化もしつつ、サウンドキャラクターも生む、非常に優れた設計と感じています。例えばLes Paul 2008シリーズのように大胆にくり抜いたものは、ドンシャリ好きには合うように感じました。2008が出た時も、「レスポールの音じゃない!」など色々な意見が飛び交いましたが、ジャンルによっては好まれる音質だったのではないかと思います。レスポールという形を維持しつつ、サウンドキャラクターのバリエーションを増やすという意図が、作り手にはあったのではないかなと、個人的には推測しています。



重量については、大手で言えばフェンダーも同じ考えのようです。
フェンダーも、カスタムショップ以上のグレードのものは、ストラトもテレキャスもベースも軽量です。マスタービルドクラスになると、本当に軽いですね。
つまりは、ギブソンもフェンダーも、上位モデルは軽量であることを定義しています。レスポールだけでなく、「テレキャスターは重い!」とおっしゃる方も多いですが、それもレスポール同様、グレードによるということですね。

そもそも、比重の軽い木材の方が鳴りが良いということは、製作側としては基本的なセオリーですので、より鳴る軽量な良材をグレードが高いモデルに使うというのは、ごくごく当たり前のスタンスと言えるかもしれません。

この「レスポールやテレキャスが重い!」という印象を持たれている方が多い理由は、小職は70年代〜80年代の製品の影響かなと思います。

仕事柄、ビンテージや中古に触れる機会も多いですが、この年代のものは、ギブソンもフェンダーも重いです。フェンダーは機種を問わず、重いものが多いですね。
5kg近いテレキャスやジャズベースも珍しくないです。

大量消費という時代的背景もあったかと思いますが、木材に対しての基準はそれほど定義されていなかったのではないでしょうか。
この頃のギターやベースはまだまだ市場に多く出回っていますし、過去にこれらを所有されたことのある人も多いのではないかと思います。
つまりは、この年代の製品から、重さに対する印象が生まれたのかもしれないですね。

一方、70年代〜80年代以前のビンテージなると、軽いものが多いですね。その頃は、良材を選びやすかったのかもしれません。

というわけで、レスポールが重いわけではないというお話しでした。
ギターの重量は、形ではなく、グレードやメーカーさんのスタンスによるということですね。


「なら近年ものはどうなんだ?」とか「理想の重量はあるのか?」などのご質問をいただきそうですが、長くなりそうなので、また改めてということで今日はこの辺で。


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