フレットの研磨について
本日は、地味な作業ですが演奏性にも深く関わるフレットの研磨についてのご紹介です。
最初に、フレットをピカピカにするために磨く「研磨作業」をする理由ですが
まず思いつくのは
・錆びたから
・汚れたから
といった見た目の問題からくる理由だと思われます。
確かに、緑色のサビが出ていたり汚れて鈍く光ってるフレットは
気分的にもあまり良いものではありませんね。
しかし、フレットの研磨作業で最も重要なのは
フレットの「傷や凹み」を取り除く事です!
フレットの傷や凹みはチョーキングやピッチなどの演奏性や出音に大きく関わってきます。
逆に、傷や凹みの無いツルツルピカピカのフレットはスムーズかつ気持ちよくチョーキング出来るんです(^^)
当店GLIDEのPLEKサービスでもフレット擦り合わせ後は必ずこの研磨作業を行っています。
実際に作業風景の写真を見てみましょう!
↑こちらがPLEKでのフレット擦り合わせ後のフレットになります。
PLEKではいくつもの刃を高速回転させ、フレットを削っているので
どうしても写真の様なフレットと直行する線傷が付いてしまいます。
このままではチョーキング時に支障をきたすので、ヤスリで研磨して取り除きます!
このままいきなりヤスリで削ってしまうと、当然指板も一緒に削ってしまうので
脚指板をマスキングテープで保護してあげます。
さまずは指板横から。
指板横が張り終わったら、次は上面です。
フレットだけが露出するように隙間無く貼り付けます。
指板を保護するのが目的なので
指板上面をマスキングする際、テープ同士が重なっても全く問題ありません。
指板全面に貼り終わるとこの様な姿になります!
フレットだけが露出している状態で、遠慮なく指板の上でヤスリを走らせることが出来ます!
指板の保護が終わりましたらボディの保護です。
特にボディを削る訳ではないのですが、指板の上でヤスリを使っている時に
「あっ!」と手を滑らせてボディを傷付けない様に保護しときます。
これで万が一の事が起きても安心です。
余談ですが、マスキングテープは色々な幅の物を使用しています。
フレットの間隔がハイフレットに行くにつれて段々と狭くなっていくため
一番小さい幅で 6mm 、大きい物はボディ保護用で50mm幅の物を使ってます!
全体的な保護が終わったので、ここからヤスリによる研磨作業です。
GLIDEでは「スポンジヤスリ」と言われる種類の研磨材を使っております。
その名の通り、スポンジにザラザラしたヤスリ面が付いている物で、複雑な形をした場所の研磨でも、柔らかいスポンジが角や隙間に入ってくれて削ってくれる特徴があります。
これでフレットの横の面までしっかり磨けます!
#320~#600の粗目のヤスリは、PLEKでのフレット切削痕だけを消すことを目標に削って行きます。
フレットと直行する線傷が消えたら次の粗さのヤスリに換えます。
次の粗さのヤスリからはフレット擦り合わせでついた傷では無く
粗目のヤスリで削った事によって付いた傷を消していきます!
#800~#1500と段々とヤスリ目を細かくしていきます。
右の3本のフレットが粗目のヤスリで研磨
左の4本のフレットが細目のヤスリで研磨した後です。
細かい方は既に光沢が出始めてますね!
細目のヤスリで光沢が出るまで傷を消したら、仕上げに金属磨きのコンパウンドとバフでツルツルピカピカにしてあげます!
バフをかける前から光沢は出ていましたが、コンパウンドをかけることにとって
新品同然の輝きになります。
新品同様のフレットの完成です!
先述しました通り、この状態でチョーキングをするとヌルヌル弦が動いてくれます!
フレットの研磨方法をご紹介しましたが
いかがでしたでしょうか?
お写真の枚数からもお察し頂ける通り、意外と手間と時間が物凄く取られる作業なんです。
けど、やっぱりピカピカのフレットで演奏すると気持ちがいいですね!
GLIDE では楽器を預けてくださったお客様が笑顔でPLEK上がりの楽器を演奏できるよう
毎日社員総出で磨いております!