サドルの高さを変える前に
[サドルの高さを変える前に]
日頃、調整の相談をよくいただいておりますが、その中で多いのが弦高についてです。
「音が詰まるようになったからサドルを上げたんだけど、まだ詰まってて」とか、「弦高を下げたくてサドルを下げたんだけど、しっくりこなくて」など、サドルを上下させたけど思ったようにならないという声を多く聞きます。
確かに、弦の支点の一つであるサドル(ブリッジ)の高さを変えると弦高は変わりますが、実はその前にすべきことがあります。
それは、ネックの反り具合の調整です。先日お話したように、ネックは少し順反っている(ギターの表側に向けてたわみを作ること)のが適正です。少し順反っていなければ、弦の振幅のためのスペースが確保できません。
例えば、ネックが順反りの逆側に反っている逆反り状態だと、弦が振幅できるスペースが無く、音が詰まってしまいます。
「音が詰まっているから」とサドルを上げても、逆反り状態では音詰まりは解消されません。「まだ詰まる、まだ詰まる」と、サドルやブリッジを上げ続けると、弦高が著しく高くなり、弾きにくくなってしまいます。
この状態では、サドルやブリッジを上げる前に、まずネックの反り具合を適正にしなくてはなりません。
逆に弦高が高いと感じている時も同じで、サドルを下げる前に、ネックの反り具合を調整します。ネックが順反りすぎていて弦高が高いのに、支点であるサドルを下げ過ぎると、音は詰まってしまいます。
また、ネックの反り方には色々あり、弓のように綺麗に反ってくれている場合もあれば、ハイポジションは真っすぐ目で、ミドルからローにかけて順(逆)反ることもよくあります。
この状態では、サドルから先に手をつけてしまうと、ハイポジション(ローポジション)がペシペシとしかいわないといったことになってしまいます。
つまりは、弦高調整は、まずネック。ネックの反り具合を適正やお好みにのサウンドに合わせたものにしてから、次にブリッジとサドルを調整し、弦高を決めます。
今までサドル(ブリッジ)を上下させてもなかなかしっくりこないと思われていた方は、ぜひ覚えておいてください^^
ちなみにですが、ネックが反るのはネック不良であったり安物であるからだと思っている方も多いですが、ネックは反るのが普通です。中にはたまたま反りにくいネックもありますが、ほとんどのギターのネックは木でできていますので、温度や湿度の変化、弦の張力の影響で反るのが普通です。むしろ、しなっている方が音は良くなります。
ネックは反る前提で、好みのセッティングで楽しんむために、定期的にチェックと調整を行います。
「ではどう調整するのか?」という質問があるかと思いますが、それについてはまた後日^^
余談ではありますが、写真のギターは小職のお気に入りの Shelton です。セットアップはまずネック調整から行います^^